土用の丑の日を計算で求めてみる

 7月10日のエントリーで「三伏の候」というのを計算してみたわけですが、ついでに「土用の丑の日」も計算してもとめてみようと思う。

まずは「土用」をもとめる

 「土用」とは何か? これは、季節のひとつ。ちょっと判りづらいので、雑でアレだけど下に図をのせてみた。
黄道上の黒い点が太陽の位置です
 むかしの中国の人は「五行思想」といって、すべてのものを「木火金水土」の五要素にあてはめて分類してみよーぜ、というような考えかたを採用していたんだけど、これを四季にあてはめると、春が「木」、夏が「火」、秋は「金」、冬が「水」となり、「土」があまる。仕方ないから、余っちゃった「土」は各季節がはじまるまえ、つまり立春立夏立秋立冬の直前の何日か(上図斜線部)にあて嵌めとけばいいよ、と、昔の中国の人がいささか大陸的な大物っぷりを発揮して定めたこの時期のことを、「土用」とよぶというわけらしい。
 ちなみに上の図は定気法といって、太陽の黄経360度を24等分したものから二十四節気を求める考えかたで、黄経0度が春分の日で、360度を24等分して一年の季節にあてはめる(年に何回か閏月が発生)。中国では十七世紀、日本では十九世紀からはこの考えかたで二十四節気を求めていて、この場合、土用は

  • 春:黄経27度点から45度まで
  • 夏:黄経117度点から135度まで
  • 秋:黄経207度点から225度まで
  • 冬:黄経297度点から315度まで

 と、太陽の位置によって決められる。それ以前の時代は平気法といって、一太陽年(約365日)の日数を24等分するやりかたで二十四節気をもとめていたんだけど、その場合は土用は「立春立夏立秋立冬直前の十八日間」と定められるらしい。中国では清、日本では江戸後期までは、「土用」といったらこっちのやりかた。
 んで、どっちのやりかたでも違いは数日しかでないので、以降はとりあえず現在採用されている定気法で考えてみる。黄経を自分で天体観測して求めるのは大変なので、理科年表か国立天文台天文情報センターのページ(http://www.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2007/rekiyou072.html)をみてみると、今年の日本標準時での黄経117度点通過時刻は7月20日10時35分、立秋は8月8日06時31分だってことがわかった。そうすると、7月20日から8月7日の19日間が今年の夏の土用となる。平気法よりも一日多くなるけど、ここではそんな大きな問題じゃないのでOK。

つぎに「丑の日」をもとめる

 「丑の日」というのは、「ね、うし、とら……」という十二支のひとつのウシのこと。これを日付にあてはめるやり方は、7月10日のエントリーでやった修正ユリウス日を12で割って、その余りを十二支の下の表の順番に対応させるということらしい(余りが0以下の場合は12を足す)。

余り01234567891011
十二支
 で、2007年7月20日の十二支をもとめてみると、まず修正ユリウス日
 [365.25*2007]+[2007/400]-[2007/100]+[30.59*5]+20-678912=54301
 となり、
 54301/12=4525余り1なので、十二支は「卯」だ。そうすると、7月20日から8月7日の19日間の十二支は、以下のようになる。
2007年
7/16(亥)17(子)18(丑)19(寅)20(卯)21(辰)22(巳)
23(午)24(未)25(申)26(酉)27(戌)28(亥)29(子)
30(丑)31(寅)8/1(卯)2(辰)3(巳)4(午)5(未)
6(申)7(酉)8(戌)9(亥)10(子)11(丑)12(寅)
 というわけで、今年の夏の「土用の丑の日」は7月30日だということがわかった。
 こんなオタクな計算をしなくても、そろそろうなぎ屋の前をとおれば「7月30日は丑の日」というノボリが立っている訳なんだけど、それはこういう考えかたをもとに算出されてたのかぁ、ということでw。ようするに土用ってのは季節の変わり目だから、しっかり食ってスタミナをつけろよって意味なのかな。