台湾と中国が国鳥を決めようとして悩んでいるらしい

鳥にははた迷惑? 中台、「国の鳥」選びに政治色

 中国と台湾を象徴する鳥を選ぶ運動が、それぞれの政府や当局の後押しを受けて進んでいる。人気投票では中国がタンチョウヅル、台湾はヤマムスメ(台湾藍鵲)が有力候補だが、中台、それに日本の微妙な関係を反映し、先行きは見通しにくい。鳥にははた迷惑かもしれない。
 台湾国際観鳥協会などが当局の後押しで1月に始めた「国鳥」選抜運動。4月末に打ち切った市民のネット投票では、台湾固有種のヤマムスメが2位に20万票差をつけて堂々の1位になった。
 投票に合わせるように台湾当局は2月から、サンジャク(中国藍鵲)を見かけたら市民に通報するように呼びかけ、捕獲する政策を始めた。サンジャクはおもに中国大陸から流入した外来種。ヤマムスメとの交雑を防ぐのがねらいだ。
 台湾の希少動物研究保護センターによると、サンジャクは00年ごろには台湾で確認されている。いまになって駆逐対策が始まった理由について同センター研究員は「『国鳥』になる鳥の純血を、大陸の鳥から守れということでしょう」と話す。
 一方、中国政府も選考を進める。香港紙によると、林業局はネットの人気投票の結果から「タンチョウヅル」を候補として国務院に報告することを決めたが、この決定に市民から疑問の声が出た。タンチョウヅルの英語名が「ジャパニーズ・クレイン」というのが理由だ。「国鳥にはふさわしくない」と、英語名が「マンダリン・ダック」のオシドリを推す動きが出ている。 (2007年05月15日22時53分)
http://www.asahi.com/international/update/0515/TKY200705150431.html

 http://j-gould.tamagawa.jp/Japanese/icons/big/M0009420.html ←これがヤマムスメという鳥らしい。この鳥、台湾にいたときに見たことあるような気がする! 現物はもっとピカピカと青く光っててギャーギャーとうるさく鳴いて、いかにも南国らしい華やかさのある、カラスぐらいの大きな鳥だったような記憶が。それで、http://hphp01.web.infoseek.co.jp/b/theme/crows/i-09.htm ←これがサンジャクらしい。この鳥も北京の北海公園で見たことあるけど、大きくて派手できれいな鳥だった。
 それで、台湾の国鳥はこのヤマムスメという青いきれいな鳥でいいとしても、中国の国鳥はいろいろ選び甲斐があると思う。なにしろ、清の光緒帝のときに編纂された『大清会典図』という本によれば、清朝につかえる官僚の朝服はその地位によって模様が決められていて、武官のものには強い獣、そして文官のものには優雅な鳥が刺繍されていたらしいんである。以下にそのリストをメモ。

品級文官の朝服のもよう武官の朝服のもよう
一品仙鶴(ツル)麒麟
二品錦鶏(赤いクジャクのような鳥)獅子
三品孔雀
四品雲雁(カリ)
五品白鷴(トビ)
六品鷺鷥(シラサギ)
七品鸂鶒(オシドリ)
八品鵪鶉(ウズラ)
九品練雀(山鵲/綬帯鳥)海馬
 ちなみに、一品よりも位の高い皇帝の衣類には鳳凰と龍が刺繍されているよ。こういったわけなので、やっぱこのへんから選ぶのが妥当かなぁ、という気もする。でも、中国で鳥といえば史記の「燕雀安(いず)くんぞ鴻鵠の志を知らんや」が反射的にでてくるので、鴻鵠(オオトリ=でかい雁)もいいかもしれないよね。しかし、共産党政権の革命政府であるいまの「人民による中国政府」の国鳥ならば、むしろそこいらへんに幾らでもいるふつうの燕雀のたぐいのほうが国策には適っているのかなぁ、と思ってちょっと笑った。十姉妹とかw。
 しかし、三国時代曹丕が定めた九品官人法が、形を変えつつこんなときにまで生きているのには驚く。