ジャスミンと栗の花の小エロ

  
 薔薇やクレマチスジャスミンがそこいらじゅうに咲いていていい香りがするけど、その中でも目立つちょっとツーンとした塩素っぽい匂いは、クリやカシ、シイの木などのブナ科の木の花のもんである。花といっても、きれいな花びらとかがある訳ではなくて、りすのしっぽみたいなオシベとメシベだけがハタキみたいに枝からぶらさがっている。横浜の官庁街からハマスタにかけては街路樹とかにこれらの木が多いらしく、毎年今ごろの時期は街じゅうにこの匂いがあふれている。
  
 このクリの花のくせがある匂いを自分はそんなに嫌いじゃないんだけど、それが人の精液の匂いに似ているといって嫌う人がいる。これは故ないことではなくて、ブナ科の木の花の匂いはスペルミン(C10H26N4)というポリアミンが含まれているんだけど、その同じ物質が人間の精液にも含まれているんだそうなのです。これは顕微鏡の発明者として有名なレーウェンフックが発見したそうなので、二度びっくり。
 アンソニ・ファン・レーウェンフック(Antoni van Leeuwenhoek,1632-1723)という人はおもしろい人で、オランダの商人だったんだけど頭のいい人で、自然科学が好きで、プロの研究者じゃなかったんだけどついには自分で世界初の顕微鏡を発明した。そしてそれでいろんなものを覗いてみては、小さなものを観察したり分析したりして、それらをロンドン王立協会という当時最大の学会に送っていたんである。はじめ彼は雨どいの水にいるミジンコみたいなやつとかを見ていたんだけど、ある日どういうわけでか(本当にどういう訳なんでしょうw)人の精液をのぞいてみて、そこに精子を発見した。ときに1677年、レーウェンフック四十五歳。その精液がどこから来たのかやや気になるのは置いておいて、彼はそれを発見してとても驚き、発表するか悩んだ。変態だと思われたらどうしようと憂慮したんである。しかし彼は結局それを発表し、世界から非常な驚きと賞賛を受けた。そしてその翌年、彼はまた人の精液の中から前述のスペルミンを発見したのです。たいへんに立派なことですが、変態かそうじゃないかと言われれば、やっぱり変態かも(ry

 そいで栗の花と精液はスペルミン(の分解物)の同じ匂いなんだよ、という話なんですが、じつはジャスミンの香りも人間の下ネタ的物質と同じなのです。ジャスミンというとふつうはハゴロモジャスミンというモクセイ科の植物を指すわけですが、この花はとてもいい香りで知られ、女性の名前や香水の原料にもよく使われます。しかし、ジャスミンやユリなどの花の香りの主成分はスカトール(C9H9N)という物質で、じつは人間の大便のニオイの主成分と同じもの。このスカトールという化合物は、濃度が高いとウンコ臭いのですが、低いとジャスミンのような花のよい香りになるという訳なのです。つまり、ウンコの匂いをごく薄くすると花の匂いになるんだよ! 自分は実践したことがあるので間違いないですw。といっても、ウンコではなくてスカトールの溶液でやってみたんであるw。スカトールを薄めていくと、はじめは明らかにうんこ臭くて鼻が曲がりそうだったのが、だんだんとユリの香りになって、しまいにはジャスミンのいい香りになったんだから驚くべきでありました。ちなみに同じモクセイ科の花にはキンモクセイとかがあるんだけど、この花の香りにもスカトールが含まれているので、キンモクセイの香りの芳香剤をトイレに置くというのは、あながち間違いではないのかもしれない。
 っつー訳で、花の香りには人間の下ネタ的なものと共通したものがわりとあるわけなのです。そう考えると、一部の変態な人の特殊な趣味も、あながち理解できないものと切って捨てたものではないのかもしれない……ということはないと思うw。ついでに、自分がこの記事を書いた理由は、真面目な話題のふりをして嬉々としてウンコとか連呼したかっただけなのが半分ぐらいですw。