『9999敗のフィリーズを支えるフィラデルフィアのファンたち』という一節があまりにも感動的なので、引用して紹介しようと思う

  • きのう買ってきた『大リーグ・フィリーズ10,000敗 “友愛の町”球団が負けても負けても愛されるわけ』という本の一節があまりにも感動的な文章だったから、ちょっと長いけど引用して紹介しようと思う
  • というか、紹介せずにはいられません><

第4章 7月13日の金曜日

 (中略)
 1万敗のことに触れて、ファンとの関係について述べているのは、『フィラデルフィア・デイリー・ニューズ』紙だ。
 「9999敗のフィリーズを支えるフィラデルフィアのファンたち」の見出しで、リッチ・ホフマン記者が書いたものである。かい摘んでみれば、こんな記事だ。
 「あなたは親を選んで生まれてきたのですか。親は選べませんね。そう、野球も同じだ。選べない。身近にあるチームだからということもある。ユニフォームの色が好きなんてことが理由になる場合もある。選手の誰かがヒロイック(英雄的)なプレーをしたからということもある。
 ともかく、普通は子供のころに天真爛漫のまま球場に来て、何かに触れ、心を奪われ、消し去りようのない印象を受ける。もうそれで、おしまい。予想もつかないし、コントロールも出来ない。意識して自分で決めたというより、勝手に向こうから染み入って来た。
 そうしてあなたに染み入ったフィリーズは、いま歴史的瞬間を迎えている。今朝の数字は9999。今夜にもそれは10000になるかもしれない。これはフィリーズが多くの年月の間に積み重ねてきた、巨大で、区切りのいい数字だが、見たくもない数字だ。それだけの歳月と涙があったということなのだが、そんな記念碑が届けられるからといっても、恥じることはない。実は、それは私たち自身だからだ。
 そう、何年も何年も、そして何十年も何十年もの積み重ね。1930年代のことを思い出す人もいるだろう。大不況があった。そのときもフィリーズは不調だった。不調、不調の連続で、よくも今日まで、消えもせず、死にもしないで、きたものだと思う。
 かつて、フィラデルフィアには二つの球団があった。フィリーズとアスレチックスだ。アスレチックスには強い時期もあったし、シャイブ・パークという立派な球場もあった。そこでは哲人監督のコニー・マックが、いつもベンチに君臨していた。ところが、フィリーズにはそのようなものは一切なかった。来る年も来る年も、100ゲームも負け続けた。ホントによくもここまで生き延びたものだと思わないか。
 当時はまだテレビというものがなく、メディア市場というのも大きくはなかったから、いまでは弱体球団の救助策となっている放映権収入の分配という余禄にあずかることもなかった。仮にも当時に救助策といえるものがあったとすれば、それは単純に「地の利」だけ。ともかくも、そうしてフィリーズフランチャイズは続いてきた。(中略)※原文中の中略
 ところでだ、ここにきて、どこからか、この10000という数字が湧き出してきた。しかし、この話の肝心なところは、選手がどう、オーナーがどうといった、果てしのない繰り言なのではなく、この球団を支援し、球場のシートから声援を送り続けた、逃れようもないファンのことなのだ。
 球団としては、わざわざ1万敗を祝う必要はないだろう。それは太陽が東から昇るように確かなことだからだ。DVDを作るなら、タイトルは『10000の思い出』とすればいい。
 フランチャイズとは、つまりはファンのことだ。
 フィリーズのファンは、このことを記念碑として確認すればいいだけの話だ。苦い思い出もあれば、感傷的にさせるものもあるだろう。いささか自惚れたときまでもがあった。人間とはそんなものなのだし、家族というものも同じ。家族には結婚、挙式、葬式、卒業、再会などがあるように、スポーツのフランチャイズにとっても、笑いもあれば涙もある。それらは必ずあるものなのだ。
 人は親を選べない。はっきりしているのは、大多数のファンにとっては、たとえ選択権が与えられたとしても、別の道を選ばなかったろうということ。今日、シティズンス・バンク球場でプレーするフィリーズの選手たちよ。球場を埋め尽くすファンをあらためて見回していただきたい。9999敗の時にあっても、私たちはあなた方と共にいる。このことをわかってほしい」
 『大リーグ・フィリーズ 10,000敗 “友愛の町”球団が負けても負けても愛されるわけ』(佐山和夫、志學社 2008、P.61-64)

  • 幼少より20年来の大洋・横浜ファンで、去年はこういう記事も書いた自分としては、もう涙なしには(ry
  • 思えば自分が弱い大洋のファンになったのは、単純に地元でハマスタや練習場が近いのでいつもそこらへんで選手を見ていて彼らは身近であり、自分にとって彼らはすごい近所の兄ちゃんで、憧れの英雄だからであった
  • 今年の不甲斐なさに怒っているファンも多いようですが、それはたぶんどの人も横浜が好きで「染み入って」いるから、今さら応援をやめたり見捨てたりなんてできないし、したくもないのに、しかしチームがもうあまりにも弱いから憤っているんだろうと思う
  • つまりはみんな、どんなに弱くても横浜が好きだし、横浜を応援してるんだ><
  • 今季はここまで16勝42敗1分、勝率はわずかに.276だけど、横浜はこんなチームじゃないはずだ><今は何かが少し間違っているだけで、本来の力でやれば必ずできると思って期待しているのだ
  • だからがんばれよ、がんばれ、がんばれ横浜ベイスターズ!!

フィリーズが2008年度ワールドシリーズ優勝したよ!!(10月30日追記)

  • おめでとうフィリーズ!! よし、横浜だって来季は優勝するぞー!!

フィリーズが2009年度ワールドシリーズに出場し2勝の健闘!(09年11月05日追記)