いまさらだけど涼宮ハルヒをみた!

 これはいいSF! すごく表現のやわらかくてかわいいフィリップ・ディックみたいだ。文庫版を読んだときには、文章に会話文が多くて台本みたいなので、内容は分かるけど文学作品としての側面からは鑑賞しづらいなぁ……と思ったんだけど、アニメになったらその台本っぽさがむしろ生かされていて面白い! しかもアニメがとてもきれいなので、SF的な概念としてだけではなく、アニメ作品としても楽しめた。カート・ヴォネガットが『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを(God Bress You, Mr.Rosewater)』で主人公のエリオットの口を借り、SF作家たちに「もっと文章の技巧について勉強してほしいのですが、しかし本当に重要な問題に取りくんでいるみなさんはそういうことにかける時間を持たないのでしょう」と言っていて、これは小松左京スタニスワフ・レムフィリップ・ディックを読むとまさに「あるあるあるある!」と言いたくなる名セリフだと思うんだけど、涼宮ハルヒを書いた谷川流さんにも(以下略)。でも面白かった! 学園ラブコメみたいな要素の運びかたが上手でかわいい。