キーボードの磨り減り具合からセ・リーグの順位を予想する(小ネタ)

  • 突然ですが、これは自分のノートパソコンです。自分はこのパソコンを、機密ではない部類の仕事や余暇のことなど、実に様々な場面でほぼ毎日使っています。もう買ってから4年目になりますが、おおむね順調に動作しています。安かったのですが、なかなかいいパソコンです。

  • ところでこのパソコン、全体は銀色に塗装されているにも関わらず手前右側の部分が白く、タッチパッドの左ボタンは黒くなってしまっています。

部屋着のパーカーのソデまで磨り減っていることは気にしないでください><

  • 上図のように右手を置いて操作するために、腕が当たる右下の部分や頻繁にクリックするタッチパッドの左ボタンの銀色の塗装がいつの間にかハゲてしまい、白や黒のプラスチックの地肌が露出しているのです。驚くべきことですね。よく「撫でるとご利益がある仏様」みたいな仏像が、大勢の参拝客に長い間撫でられ続けたためにテカテカに磨り減っている光景を目にしますが、それと同じ現象です。撫でるとご利益がある仏様のことは「なで仏」というそうなので、以下ではこの現象を「なで仏現象」と呼ぶことにしました。

  • さらにこの「なで仏現象」は、キーボードにも起こっています。上の写真は「A」のキーなのですが、あまりにも頻繁にタイプされ続けたために、既に「A」の字がハゲて消えかかっています。

  • こちらの写真は、日本語ローマ字入力ではタイプする機会が少ない「V」のキーです。「A」と比較して頂ければ分かりますが、字がまったく磨り減っていません。さらに「V」キーの表面は、よく見ると梨地仕上げのようなザラザラしたツヤ消し状になっています。もちろんツルツルテカテカの「A」キーも、新品のときには「V」と同じく梨地状であったのです。それが「なで仏現象」により、今やすっかり摩耗してツルツルテカテカの表面になってしまったのです。
  • この「なで仏現象」は、頻繁に触られる部分にほど多く起こります。すなわちテカテカなキーは頻繁に使われるキーで、ザラザラのキーは普段あまり用いられないキーということです。
  • ということは、キーボードの磨り減り具合を調べ、磨り減った割合の大きいアルファベットを並べてみたら、そこからは自分のパソコンで頻繁にタイピングされている文章の「平均文」が見えてくるのでは? さらに、自分はごく平凡な人であり、そう特異な文章を打つほうでは(たぶん)ないことから考えると、このパソコンのキーボードの磨り減り具合が示すアルファベットの使用頻度が、日本の常識的かつ普遍的な文章を形にした「平均文」を表すのではないでしょうか!? 古代エジプトロゼッタストーン象形文字を解読したことで有名なシャンポリオンは、まずどの文字が多く使われているかを調べ、それをギリシャ語に照らし合わせて翻訳を行ったと聞いたことがあります。自分のキーボードも、ロゼッタキーボードになり得る可能性がないとはいえません。

  • 話が分からなくなってきましたが、とりあえずはパチパチとキーボードからキーを外し、摩耗の具合を調べてみました。すると、その程度はだいたい4段階に分類できることがわかりました。

グリスで少し指が汚れました><

  • 1グループ:超テカテカ
    • 表面の梨地仕上げは摩耗でほぼ全て消滅しフルテカテカ、さらにはアルファベットの印刷までハゲかけているキー。A・K・N・Mの4文字がこれに該当しました。

ちなみに爪は伸ばしません

  • 2グループ:テカテカ
    • 表面の梨地仕上げは、よく指先が当たる中央部分を中心に七割から八割が摩耗してテカテカしています。アルファベットの印刷は無事です。E・I・T・O・S・Uの6文字がこのグループです。

  • 3グループ:少しテカテカ
    • 指先が当たる部分が少し摩耗していますが、テカテカというほどではありません。ちょいテカです。Z・J・Y・G・H・R・D・Bの8文字がこのグループでした。

  • 4グループ:きれい
    • 「なで仏現象」がほとんど見られないキーです。V・L・F・C・P・W・X・Qの8文字がこのグループに該当しました。

警察の押収品みたいな写真になってしまった

  • これら4つのグループのキーの使用頻度を、摩耗具合からごく単純に「1グループは4グループの4倍の頻度でタイプされた」というふうに考えます。たとえば一日のうちに「V」キーをタイプする回数が1回ならば、「B」キーは2回、「E」キーは3回、「A」キーは4回といった感じです。こうして文字群を作ると、以下のようになりました。

  • 上図のアルファベット群を、仮に「平均文用文字群」と呼びましょう。この文字群を使って文章を作れば、日ごろ自分がパソコンで打っている「平均文」ができるはず! そしてそれは、世間的な「平均文」でもあるはず!
  • さて、ひとくちに「平均文を作る」といっても、どんな文章を作るかです。明日の天気、株価の先行き、恋の行方など知りたいことは人それぞれでしょうが、自分を含めたプロ野球ファンがとりあえず知りたいことは、今季のセ・リーグの順位でしょう。いやパ・リーグも知りたいですが、自分の贔屓チームはセ・リーグなのです。ですからとりあえず、セ・リーグの順位をキーボードの磨り減り具合から予測してみたいと思います。
  • やり方は単純で、「球団の正式名称+優勝」という文章をアルファベットにしたときに、それが平均文用文字群で構成できるかという方式です。たとえば、「yokohama baystars yuusyou(横浜ベイスターズ優勝)」という文章がもしも平均文用文字群でタイピングできなかったら、その文章はこのパソコンであまり打ち込まれない類の内容、すなわち非普遍的な内容であるという理論です。
  • では、09年度の順位が下だったチームから、平均文実験をしていきましょう。順番を下からにしたのは、そうすると贔屓チームが先頭にくるからです。どうでもいいときぐらいは一番になりたいという、弱いチームのはかないファン心理というものです。そんなことはさておき、優勝にもっとも近いのは、果たしてどの球団でしょうか?

  • おおっ、横浜は意外な健闘を見せ、球団名はきちんと書ききることができました! しかし、「優勝」の単語に差し掛かった途端に字が足りなくなってしまったあたり、さすがベイスターズというべきでしょうか。ああ、あと「Y」が2つありさえすれば……。
  • ちなみに「優勝」という単語の入力は、自分の場合は「yuusyou」と打つ場合と「yuushou」と打つ場合の二通りがあるので、どちらでもいいことにしました。

  • 次は昨季5位の広島です。「広島東洋カープ」という球団名は長いのでかなり不利かと思いきや、うまくバランスをとって大健闘! あと一歩で優勝を書ききれませんでしたが、惜しい感じです。

  • 広島の次は4位の阪神です。なんとなんと、ここで阪神が文章を最後まで書ききりました! 「yuusyou」で3つも使う「U」の字を、前半の球団名でひとつも用いることなく節約できたのが勝因ですね。先発が8回までしっかり投げきったような感じでしょうか。

  • 次は、去年チームが大健闘した3位のヤクルトです。しかし「東京ヤクルトスワローズ」という長い球団名が災いし、まさかの球団名も半ばで字が尽きました。ひとつしかない稀少な「L」を、「ヤクルト」や「スワロー」でふんだんに使いすぎているのが原因ですね。そういえば去年は、チーム本体もクローザーの林(LIM)を使いすぎていました。Lは貴重です。

  • 昨年度のリーグ順位は2位の実力派中日ですが、なんと球団名の半分にも達せずリタイアです。「中日ドラゴンズ」という短い球団名は有利かと思いきや、ひとつしかない貴重な「C」を前半で使いすぎていました。ここへきて、上位の実力派球団がまさかの苦戦です(球団名で)。

  • 最後は、チーム戦力的にはダントツと思われる首位読売です。やはり伝統の強豪、「yuusyou」の「Y」が足りなくなったところを辛くも「H」ルートで乗り切るなどの踏ん張りをみせ、これは阪神と首位決戦かと思われましたが、なんとラスト一文字で優勝を逃してしまいました。そう、「yuusyou」の入力には「U」が3回必要ですが、そもそも「U」のストックは3文字しかないので、「U」は一文字たりとも球団名に使ってはいけないのです。最後に詰めの甘さが出てしまいました。
  • 以上のことから、我がパソコンの「電子計算機を用いたなで仏理論による平均文解析」が予想した今季のセントラル・リーグの順位は、以下の通りとなりました。
優勝阪神タイガース
2位読売ジャイアンツ
3位広島東洋カープ
4位横浜ベイスターズ
5位東京ヤクルトスワローズ
6位中日ドラゴンズ
  • おお、これが寅年パワーというものでしょうか。我がベイスターズもBクラス首位となかなかの善戦ぶりですが、優勝には手が届きませんでした。これからはベイスターズ優勝のために足りなかった「Y」をタイプしまくり、ものすごく磨り減らすことで使える文字数を増やしてリーグ優勝を目指そうと思います。すいませんウソです。ファンがこうやってアルファベットを並べたり、あるいはマジックを点灯させたりなどと信じられないどほくだらぬことをして遊んでいる間にも、選手のみなさんにはしっかり練習して、実力で優勝を目指してもらいたいですねw。今季こそは優勝するぞー!