ブログのタイトルを変えてみた。Daydream BelieverとGlory Days

Daydream Believer by John Stewart  (てけと訳)

Oh, I could hide neath the wings  ああ、しあわせの青い鳥が歌う
Of the bluebird as she sings.  その羽の下に隠れていられたらいいのに
The six o'clock alarm would never ring.  六時の目覚ましがずっと鳴らなければいいのに
Whoops its ringing and I rise,  うう、でも目覚ましが鳴って僕は起きだし、
Wipe the sleep out of my eyes.  目を醒まそうと寝ぼけまなこをこする
My shavin razors cold and it stings.  ひげそりは冷たくて、肌にちくちくする


Cheer up, sleepy jean. 起きろよ、ねぼすけさん
Oh, what can it mean  ああ、白昼夢を追いつづける男と
To a daydream believer  ホームカミング・クイーンにとって
And a homecoming queen.  その言葉は何を意味するだろう


You once thought of me  君はかつて僕のことを
As a white knight on a steed.  白馬の騎士だと思っていたね
Now you know how happy I can be.  いま、君は僕の得られる幸せの程度が判っている
Oh, and our good times starts and end  ああ、そして僕らの楽ししいひとときは
Without dollar one to spend.  一文も使わずにはじまっては終わるけど、
But how much, baby, do we really need.  ねえ、でも、僕らに本当に必要なのはどれだけなんだろう


Cheer up, sleepy jean. 起きろよ、ねぼすけさん
Oh, what can it mean  ああ、白昼夢を追いつづける男と
To a daydream believer  ホームカミング・クイーンにとって
And a homecoming queen.  その言葉は何を意味するだろう
(アルバム『The Birds, The Bees & the Monkees』、The Monkees, 1968年)

 「a homecoming queen」は普通に訳すと「帰省中の女王様」で、何がなんだか分からなかったのでWikipediaで調べてみた(http://en.wikipedia.org/wiki/Homecoming)。そうしたら、米国にはホームカミングという1920年代には米全土に広まっていた伝統的な年中行事があって、毎年秋に高校やカレッジの同窓生や以前住んでいた住民の帰郷を歓迎するためにお祭りをして、パレードをしたり、アメフトや野球やアイスホッケーの試合をやったり、a Homecoming Queenというものを決めたりするらしい。この歌をうたったのは1960年代後半のアメリカのバンドであるザ・モンキーズなので、たぶんそのことなんだろう。何て訳したらいいのか分からなかったので、そのまま「ホームカミング・クイーン」としてしまった。
 そいで、「sleepy jean」というのは何だろう? Jeanが人の名前で、「ねぼすけのジーン」なのかな? と思ったけど、jeanがジーンズのことで、「(いい年をしてスーツを着て勤めもせず、ジーンズをはいてフリーターみたいな仕事をしている)ねぼけた(しっかりしない)ジーンズ野郎」という意味かもしれない。この場合のsleepyは、ストーンズのストリート・ファイティング・マンの、

Street Fighting Man by Jagger/Richards

(前略)
Well then what can a poor boy do  だって、貧しい少年に
except to sing for a Rock'N'Roll Band  ロックンロール・バンドで歌う以外の何ができるっていうんだ
'Cause in sleepy London Town  なぜならば、寝ぼけた/腐った/活気のないロンドンの街には
There's just no place for Street Fighting Man!  街のやんちゃ者の居場所なんてないんだぜ
(アルバム『Beggars Banquet』、The Rolling Stones, 1968年)

 このsleepyと同じ用法になるんだろう(たぶん)。だれか英語のうまい人が、sleepy jeanの意味を教えてくれないだろうか。
 この詩は、自分たちの限界に気がつきつつも気づかないふりをして、惰性でそれなりに楽しい日々を送っているけど、本当はしゃっきりしなきゃいけない、本当の生活を始めなきゃならない、でも踏ん切りがつかなくて現実と向き合えなくていつまでも夢を追っているような男と、都会に出てきたけど全然パっとしなくて、帰郷した街の同窓会パーティーだけで輝いていられるような女性のカップルの歌なのだろうか。「Cheer up, sleepy jean, oh what can it mean」は、「ダラダラ過ごしていないで、目を醒まして地に足のついた人生を送れよ」だろうな。
 この詩はなんとなく、ブルース・スプリングスティーンのGlory Daysの詩に似ている。

Glory Days by Bruce Springsteen  (てけと訳)

I had a friend was a big baseball player  高校のころ、
back in high school  すごい野球選手だった友達がいた
He could throw that speedball by you  そいつはすごい速球を投げられたから、
Make you look like a fool boy  他の奴は誰でもみんな間抜けに見えたもんだ
Saw him the other night at this roadside bar  このあいだの夜、道ぞいのバーでそいつに会った
I was walking in, he was walking out  俺が入っていくところで、そいつは店から出てきた
We went back inside sat down had a few drinks  俺たちはもう一度中に入って座り、何杯か酒を飲んだんだけど
but all he kept talking about was  そいつが話し続けるのは、すべて昔のことばかり


Glory days well they'll pass you by  栄光の日々、それは人の上を通りすぎていく
Glory days in the wink of a young girl's eye  栄光の日々は若い女の子の一瞬のまばたきの中に
Glory days, glory days  栄光の日々、栄光の日々たちよ


Well there's a girl that lives up the block  ちょっと行ったとこに女の子が住んでたんだ
back in school she could turn all the boy's heads  学校じゃ、彼女はすべての男子をふり向かせてた
Sometimes on a Friday I'll stop by  金曜日、たまに俺はそこに立ち寄って
and have a few drinks after she put her kids to bed  彼女が子供を寝かしつけた後、何杯か酒を飲む
Her and her husband Bobby well they split up  彼女と夫のボビーは仲が悪い
I guess it's two years gone by now  そうなってからもう二年も経つんじゃないかな
We just sit around talking about the old times,  俺たちは何もせず、ただ座って昔のことを話す
she says when she feels like crying  彼女は言う、泣きたくなったときには
she starts laughing thinking about  昔の栄光の日々のことを考えて笑うのと


Glory days well they'll pass you by  栄光の日々、それは人の上を通りすぎていく
Glory days in the wink of a young girl's eye  栄光の日々は若い女の子の一瞬のまばたきの中に
Glory days, glory days  栄光の日々、栄光の日々たちよ
 (アルバム『Born in the U.S.A.』、Bruce Springsteen, 1984年)

 She starts laughing thinking aboutは、こうして詩をみるとthinking aboutがthe old timesのことになって「彼女は昔を考えて笑う」になるけど、ボス・ブルース・スプリングスティーンが歌詞を曲に乗せて歌っているのを聞くと「thinking about glory days, well they'll pass you by...」とつながって聞こえるから、thinking aboutがglory daysになって「彼女は栄光の日々のことを考えて笑う」になると思う(どうせthe old times=glory daysだから、同じことなんだけどw)。
 たったこれだけの詩で、アメリカの国道沿いにあるしょっぱい街の人たちの汗とビールの匂い、強烈な陽射しに色あせたネオンサイン、腹の出かかって腕に毛の生えた男と安っぽいくたびれたワンピースの痩せた女、埃っぽいピックアップ・トラック、つけっぱなしのブラウン管の小さなテレビ、マントルピースの上にある高校時代の記念写真とかまで、まるで映画のようにありありと想像させるんだからすごい。現代英語でも古漢籍でも、文語でも口語でも、詩というのはおそらく本質的には絵を描くことに近いんだと思う。