オールスターの存在意義が変わったと思う

 オールスターのファン投票で、パリーグ楽天から八名が選ばれたらしい。

ダルビッシュら初出場17人=オールスター陣容決まる−プロ野球

7月3日17時32分配信 時事通信
 プロ野球ガリバーオールスターゲーム20日=東京ドーム、21日=フルスタ宮城)の監督推薦を含むセ、パ両リーグ各30選手が3日、発表された。初出場は、監督推薦を受けたダルビッシュ日本ハム)や高橋尚(巨人)ら17人。新人はファン投票選出の田中と嶋(ともに楽天)の2人。相川(横浜)は13年目で初出場となる。オリックスのローズは近鉄、巨人時代と併せて通算9度目の出場。ヤクルトの古田兼任監督は選考から漏れ、新人シーズンからの連続出場は17年で途切れた。球団別では楽天と巨人の8人が最多。昨年8人だった阪神は藤川と久保田の2人に減った。セは落合(中日)、パはヒルマン(日本ハム)の両監督が指揮を執る。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070703-00000131-jij-spo

 何はともあれ出場選手のみなさん、素直におめでとうございます! 全オーダーは公式サイト(http://www.npb.or.jp/allstar/2007roster.html)にあるけど、今年は全体にオーダーがちょっとだけ微妙なような……こ、こんなもんかな……。ベイからはファン投票で仁志、監督推薦で木塚、クルーン、相川。相川おめー、がんばれ木塚。パのファースト・サード・ショートが松中・小久保・川崎なのに笑ったw。ついでに、今年から「サンヨーオールスター」じゃなくて「ガリバーオールスター」になったんだー。知らなかったw。
 それはいいとしても、朝日新聞のウェブじゃない本紙のほうは、関東3日付けのスポーツ面の『チェンジ』というコラムで、オールスターファン投票の結果について、下のような文章を載せている。

楽天票、地元声援の証し

 パ・リーグ5位の楽天からファン投票で8人が選出された。コミッショナー事務局によると「不正な投票は見あたらなかった」という。15年ぶりの仙台開催に伴い、地元ファンの後押しが勝ったわけで、選ばれた選手は胸を張って出場すればいい。03年の投票で、1試合も登板していない川崎(当時中日)が100万近い票を集め、1位になった。この時は、インターネットによる異常な大量投票が行われた。その後、ネット投票は1人1日5回までと制限され、一定以上の出場数をクリアしないと、投票の対象にはならないという規定もできた。今回、有効投票数の約60%ははがきによるもの。たとえ組織票であったとしても1枚、1枚、マークシートに記入したことに、変わりない。楽天票が伸びたのに、投票総数は昨年より減った。ほかの地域の野球熱が下がっている、と見ることもできる。(志方浩文)

 調べてみると、オールスターの公式サイトにここ十年ぐらいの投票数データがあったので、とりあえず表にしてみた。

年度ハガキインターネット携帯電話総投票数メモ(by しゅーらん)
1996年2,307,17961,7042,368,883アトランタオリンピック開催
1997年2,353,194103,7682,456,962
1998年2,383,207163,1852,546,392ベイ優勝(関係ないですw)
1999年3,225,098541,9503,767,048松坂くんフィーバー
2000年3,329,067569,3103,898,377シドニーオリンピック開催
2001年3,124,299320,346234,8433,679,488
2002年3,865,4071,293,424692,4645,851,295試合数が三試合→二試合になる
2003年3,871,6652,348,6001,089,2137,309,478川崎憲次郎に組織投票祭り、川崎出場辞退
2004年2,503,937633,490822,8203,960,247川崎祭りをうけてインターネット経由の投票が登録制になる、アテネオリンピック開催
2005年1,748,105715,422860,3733,323,900球界再編、近鉄解散、オリックス・バファローズ楽天球団発足、セパ交流戦開始
2006年2,976,927683,9331,227,6144,888,474WBC開催
2007年2,856,823545,9921,308,3144,711,129パで楽天からファン投票により八名選出
 (参考資料:2002年までhttp://www.npb.or.jp/allstar/2003voting_memo.html、2003年http://www.npb.or.jp/allstar/2003votingresult.html、2004年http://www.npb.or.jp/allstar/2004votingresult.html、2005年http://www.npb.or.jp/allstar/2005votingresult.html、2006年http://www.npb.or.jp/allstar/2006votingresult.html、2007年http://www.npb.or.jp/allstar/2007votingresult.html
 こうして上の表をみてみると、たしかに2007年は総投票数が前年よりも177,345票減っているんだけど、それは割合にすると前年の3.6%で、しかもそのうち約77.8%はインターネット投票の減少ぶん。ハガキと携帯電話の投票数は去年よりも増え、ハガキだけの総数をみても1996,1997,1998年や2004,2005年よりも2007年のほうが多い。比較的ひとりで複数投票のしづらいハガキや携帯電話の票は増えていて、比較的複数票のしやすいインターネットが減ったんだから、投票する人自体はそんなに大きな増減はないと「見ることもできる」w。今年は総投票数に占める楽天ファンの割合が増えたのは確実なので、そのぶん他球団ファンの割合が減ったかもしれないけれど、だいたいこれはオールスターに限った投票だ。なので、自分はこのオールスターファン投票数の推移からは、安易に「ほかの地域の野球熱が下がっている、と見ることもできる」とは言えないと思うです。
 楽天選手の投票が多いことについては、優勝も最下位も味わいながら何十年もマイペースに応援している他チームファンにくらべて、楽天は長年地元チームがなかった地方にやっとできた新しいプロ野球チームで、弱かった昨年・一昨年にくらべて今年はかなりの好調、最多ホームラン打者や甲子園のヒーローも揃っているんだから、ファンが大喜びして投票しまくるのは当たり前だと思う。だってセの先発・黒田と捕手・栗原もカープファンが熱く投票しまくったんだろうし、どういう経緯にせよファン投票の結果なんだから、驚きこそすれ文句つけることはないよね。つうか、オールスターでそんなに騒がなくてもいいんじゃw。
 そもそも、最近はオールスターの存在意義自体が微妙に思える。オールスターのおもしろいところは

  • 各リーグごとのドリームチーム編成
  • セ・パ選手の対決
  • お祭り

 の、ふだんのペナントではありえない三点がメインの要素だったと思うんだけど、そのうちのセパ対決に関しては、2005年から交流戦がはじまったので、オールスターを待たなくてもたっぷり一ヶ月も見られるようになった。
 しかもドリームチーム編成についても、ここ数年は各球団のスタープレイヤーが揃うわけでもなくなった(WBCのほうがよっぽどすごいドリームチームだった)。お祭り的要素においても、普段のファンサービスや応援がすごく向上して華やかになったし、テレビで常に全試合の中継が見られるようになって、バラエティ番組とかにも多くの選手がしょっちゅう出演している。北海道や東北みたいな地方にも、地元チームと球場ができた。だから、オールスターを特別に楽しみにするという必要は、今はあまりなくなっているんじゃないかと思うんである。
 でもそれは、悪い傾向ではないと思う。ふだんがオールスターよりも面白いんだから、むしろいち野球ファンとしてはうれしい。オールスターが好きな人も多いと思うし、一日二日はあのような気分転換イベントも楽しいと思うけれど、十年、二十年まえのオールスターがもっていた特別な価値はなくなったように自分には見えるです。長々と書いてしまったけれど、オールスター自体がそんなに大騒ぎするようなことじゃなくて、むしろ、肩の力をぬいてマターリ楽しめるような12チーム合同のファンイベントになったんだと思う。出てない選手はゆっくり休めるし。
 しかし、あれだ。威助が! 阪神林威助が出てないじゃないかぁぁ(←やっぱり贔屓選手が出ないとさびしいファン心理w)。